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若年性乳がんに罹患して

2015年8月28日

私は2013年8月、29歳の時に乳がんステージⅡbの告知を受けました。当時日本語教師になるという夢を叶えて単身台湾に滞在していた私は、治療のため日本に帰国せざるを得なくなりました。病気への不安や心配より「仕事を辞めなければならない」「台湾から離れなければならない」ということが最も辛いことでした。病気をきっかけに台湾で築いてきたもの全てが失われたように思われました。

帰国後、術前抗がん剤治療が始まりました。辛い副作用に加えて、社会からの疎外感と孤独感に苛まれる毎日でした。そんな中、患者会のサロンに参加するきっかけがあり、がん経験者のボランティアの方々がやさしく話を聞いてくれました。「ここには仲間がいる」「もう一人で頑張らなくてもいい」と思いました。患者会のおかげですこしずつ仲間の輪が広がり、笑顔も戻ってきました。

半年の抗がん剤治療の後、乳房全摘手術、放射線治療を受けました。2014年9月、治療がひと段落して社会復帰しようとしていた矢先に、骨への転移が見つかりました。その数か月後には肝転移が見つかりました。今も抗がん剤治療中なので仕事はしていませんが、体調の良いときは温泉に行ったり、料理をしたり、家族との時間を大事に過ごしています。

乳がんをきっかけに、いつも見守ってくれるサバイバーの仲間、信頼できる医療関係者に出会えたこと、そして家族とゆっくり過ごす時間を得られたことが、私にとってのキャンサーギフトです。台湾で知り合った人たちもエールを送ってくれます。

落ち込む日もたくさんあります。でもその気持ちも素直に受け止めて「それでもいいんだ」「当然のことだ」と自分に言い聞かせています。

治療は決して楽ではありませんが、日々の生活の中に楽しみやワクワクすることをたくさん見つけていきたいと思います。そして少しでも楽しく、笑顔で過ごしていきたいと思います。

若年性がん患者の場合、妊孕性や結婚の問題、就労の問題といったこの世代ならではの悩みを抱え、精神的なサポートを必要としている人は多いはずです。もっと気軽に緩和ケア科や地域包括支援センター、患者会などにアクセスできるようになればいいと思います。

また、20代でもがんになるということを知ってほしいです。私は自分ががんになるなんて何十年も先の話だと思っていました。若年層へのがんへの正しい理解が進み、一人でも多くの人が早期発見・早期治療できるといいと願っています。

(30代女性)