本当の母親として

2015年8月19日

忘れもしない2年前の10月です。通勤途中の電車で倒れました。極度の貧血。そのまま、都立病院へ救急搬送され、その日1日掛かりで5科受診。勤務先より主人も駆け付け、婦人科にて過多月経と診断されました。「子宮鏡手術をお勧めします。出来る限り早くしましょう。そうすれば治りますよ」と、今思えば主治医は分かっていたのだと思います。医療・福祉関係のフルタイム勤務でしたので、事務長・看護部長の理解もあり特に問題無く休めました。只、我が家には自閉症等の障碍を持つ息子がおります。私の夢は将来息子と一緒に何かお店を出す事が夢です。又、障碍の子供がいてもフルタイムで仕事ができる母親を社会に理解して貰えるよう自分なりに頑張っていました。が、一抹の不安を持ちながらも、大丈夫と思い入院しました。無事、手術は終わりましたが、退院の前日、主治医より「今回は検査入院だから」と一言。さすがに怪しいと感じました。

退院後、職場に直ぐに復帰しましたが、出血が始まり、量が増え病院へ連絡しました。直ぐに、病院へ入院の準備をして、ご家族と来れますか?と返答され、その後は気が動顛し、息子の事が頭の中でグルグル回り、余り記憶が有りません。その後は、主治医の前で告知をされていました。子宮体癌が原発により卵巣にも転移。直ぐに子宮卵巣を摘出する手術が必要です。息子に障碍があり、20歳まで生きれますか?息子の障碍の告知より、叫んで聞いていました。翌週には、開腹手術により子宮・卵巣を摘出。他の転移は見られませんでしたが、念の為、抗がん剤治療を行いました。

主治医より何故、検査に行かなかった?障碍の息子さんの事を考えれば、それがあなたの母親としての務めでしょうと…言われて、気付きました。仕事や息子に託けて、検査には行っていませんでした。確かに、体調がすぐれない期間が約半年ありましたが、更年期だと勝手に判断していました。母親としての役目を果たしていませんでした。健康こそが息子にとっての母親だと私は思い知らされました。現在は、検査通院はもちろん、排便・排尿・更年期障害・骨密度等のコントロールも行っており、職場も理解があり特に問題無く勤務しています。息子と一緒にお店を出す夢も一歩づつ歩んでいます。息子の笑顔や成長が見られ今が本当の母親でいられます。

(40代女性)