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Over Cancer Together キャンペーンに寄せて(川上 祥子(OCT事務局))

2013年3月21日

川上さん
NPO法人キャンサーネットジャパン(以下CNJ)の川上です。
私が、がん啓発活動に関わるようになったのは、看護学生時代に、40代の女性の、肺がん体験者の講演を聴いたことがきっかけです。私はそれまで幸い、家族や親しい友人が、がんと向き合う、という体験をしたことがなく、がんというと、恐ろしい、痛い、苦しい、死、といった強いマイナスイメージがまず浮かんでいたのですが、目の前で話をする彼女は、生き生きと半生を振り返り「がんで失ったものはあるけれど、がんになって初めて得られたものもある。もう一度人生があるなら、がんになることを選んでもいい。」と語りました。この話を聞いた私は、がんに対するイメージが大きく変わりました。それまでの人生でも、看護学生としてでも、実際に体験した「がん」は、病棟実習で出会った、手術前後の患者さんくらいでしたから、がんを体験しても、こんな風に普通に、いや、それ以上に充実した気持ちで人生に向き合うことができるのだな、ということはある意味、衝撃でしたし、看護を学ぶ者として、そのプロセスを支援することに大きな意義を感じ、その後はがんの領域を一直線に志すことになりました。

卒業後は、大学病院の放射線科病棟や、クリニックの化学療法外来等で看護師として勤務し、老若男女さまざまな部位・ステージのがん患者さんを看護し・看取りつつ、CNJの活動を続けていましたが、医療の進歩により治療成績が向上した近年、医療現場でがんと向き合う人よりも、社会でがんと向き合う人のほうが多くなっているのは間違いないのに、社会でがんと向き合う人を支える仕組みや資源が十分でないのでは?との問題意識を常に抱えていました。そこでCNJでは、3年前からKnow(≠No)More Cancer を標語に掲げ、患者・家族、医療従事者だけでなく、一般の方々にも、がんを知ってもらうことで、がんを体験した人が、自分らしくがんと向き合い、社会もがん患者を受け容れ・支えることができるよう、さまざまな角度から啓発活動を続けています。

こうした背景もあり、CNJはOCTの活動に賛同し、コミッティーメンバーとして、参画しています。がん体験者のリアルな現実を伝えていくことに関われることを嬉しく思います。OCTを通して、たくさんのSurvivorshipに触れることを楽しみにしています。