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がんの話ができる家族(小山田 万里子(OCT事務局))

2013年3月14日

私の母は、子宮がんの経験者です。彼女は若い頃に受けた健康診断でがんになる可能性があると言われ、それ以降定期的にがんセンターで検診を受けていたのですが、15年ほど前に子宮がんと診断され手術を受けました。
がんと診断されたこと、手術を受けることを知らされたのは、私の父、妹、私の3人のみです。母は今でも、自分の母親や兄弟に自分の病気のことは話していません。「がん」=「死」というイメージが強く周りに心配をかけたくなかったこと、がんの話をすることでどういう反応をされるのか不安だったことが大きな理由のようです。もし、入院が必要なく病院も近所だったら、私や妹にすら何も言わなかったのではないかと思います。

自分自身どうなるのか分からない病気になった時に、精神的に頼れる身近な人が父だけというのは、とても不安だったと思います。また以前がん検診について母と話した際には、「がんなのか、がんでないのか分からない不安定な状態が続くくらいなら、検診なんて受けずに何も知らない方がいい」と言っていたこともあります。彼女ががんと診断されたのは15年前ですが、それ以前から定期的に検診を受けていたことで、「今回の検診は大丈夫か?」「あまり状況が良くないので今度こそ手術が必要になるかも?」などと、不安な思いを抱え続けていたのだと思います。
それでも手術をのりこえ、今元気に振る舞っている母は、とても強いと感じます。

一方で、そんな母に自分がしてきたことを振り返ると、後悔が残ります。母のが術をしたころ、私は中学生だったため、母がいない間の家事をすることやお見舞いに行くことくらいしかできませんでした。もっと他に何かできたのでは、と思います。
母は幸い術後の経過は順調ですが、今も定期的に病院に通っており、「検診に行くのは緊張する」と言っていました。ただ、検診後に「今日どうだった?」と声をかけると、「覚えていてくれたのね」と少し嬉しそうにしてくれます。
母の性格やこれまえでの経緯を考えると、母とがんについてじっくり話をすることは、今後も難しいと思います。それでも、母が独りで病気と闘っていると感じないように、何ができるかを考え、また少しでも彼女の支えになれることをしていきたいと思います。

そして、現在事務局として関わっているOver Cancer Togetherキャンペーンで、自分の経験を少しでも役立てたいと思います。

小山田 万里子 (30代 女性)