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がんサバイバー・オストメイトとなった私の夢

2015年6月9日

がんを経験した私には、人生の大きな目標があります。それは『病気・障害をもっていても笑顔で暮らせる社会を実現する』こと。とても大きな目標かもしれませんが、すでに患者会活動に携わるなどして、夢への一歩を踏み出しています。

私が病気になったのは大学3年生、21歳のときです。病名は横紋筋肉腫という小児に発生しやすいがんでした。最初の入院は1年4ヶ月以上続きました。治療の副作用に伴うものを含めると外科手術は4度、そして、抗がん剤、放射線療法も行っています。3ヶ月以上の絶飲食も経験するなど、闘病体験だけで原稿用紙が何枚も埋まってしまいそうです。

病気がわかってから6年半の月日が流れ、徐々に以前の生活に戻りつつあります。しかし、私は病気が原因で人工肛門・人工膀胱をつける身となりました。どれだけ元気になっても、自分に造設された3つのストーマ(排出口)が、闘病時代を思い起こさせます。

回復していく中で感じたのは、病気・障害をもった人たちを取り巻く様々な問題でした。社会の無理解、就労の問題、恋愛・結婚の問題。

人工肛門・人工膀胱保有者のことを「オストメイト」と呼びますが、その言葉は医療関係者以外にはあまり知られていません。そもそも人工肛門・人工膀胱がどのような仕組みになっているかを知っている方はとても少ないです。「知らない」がゆえに、就職させてくれないという話を聞くなど、社会の無理解による弊害を様々な場面で感じてきました。

そして、私は手術と抗がん剤の影響で生殖機能に大きなダメージを受けました。将来、子どもができるかどうかわかりません。さらに、普段は見えない人工肛門・人工膀胱も、シャツを脱いでしまえば隠しようがありません。そんな状況におかれた私はどうしても恋愛・結婚の問題に目を背けようとしてしまいます。

私は病気・障害があることを決して言い訳にするつもりはありませんし、学生時代の研究でそれなりに成果を残しました。ただ、私たちのような人がいるということをもっと知ってほしいのです。社会の理解が進めば、私たちだってもっと活躍できるはずです。

私たちが笑顔でいられる社会は、誰もが笑顔でいられる社会だと思います。『病気・障害をもっていても笑顔で暮らせる社会を実現する』ために、がん経験者・障害者の立場から頑張りたいと思います。それが、みんなにとってプラスになることを信じて。

関口陽介さん 20代